「君たちふたりは真面目だなんて、どこの誰が言ったんだろうか」 手を焼かれるのは鉢屋だ三郎だ、と同級生にど突かれた脇腹に手をやって、じっと見上げるふたりを見る。図形のように丸い目が似ていて、兄弟みたいだ。 焼き芋をしようとしたのか、落ち葉を集めて中心に置いたのは火薬だった。なるほど火の通りが速くなる。ついでに炭と焼身死体の出来上がりだ。 「鉢屋先輩」 「何?」 「鉢屋先輩です」 呼びかけられたと思って返事を返すと、意味合いが違う、と再び名前を呼ばれた。鉢屋先輩が言ったんです。最後は確かにそう言った。 「不破先輩」 「二人一役は疲れませんか」 「……いつから、知ってた?」 最初から、と答える声は遠慮がちで、丸々とした瞳は伏せられてしまった。 さわさわと風が起ち、せっかく集めた落ち葉は踏ん張りながらも少しずつどこかへ消えていく。火薬が鼻をついた。 任務から帰ってくるまで、と鉢屋と交わした約束は、今日で三日目になる。あいつらふたり揃って真面目で優秀だから、本気でかかっていかないと飲み込まれるぞ、と鉢屋は準備をしながら言っていた。あはは、と笑って何も準備しなかったのは不破だった。 「大きい炎なら、鉢屋先輩だって気づきますよね」 「忍術学園はここですよって」 手を焼かれるのは鉢屋だ三郎だって言うけどな、お前もみんなに手を焼かれてるんじゃないか、と同級生にど突かれた脇腹が、しくしくと痛い。 |