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妥協を許す先輩は、とても顧問の先生に似ている。仕方ない、と優しく。たまに、切なくなる。
「三郎次にはこうなってほしくないな」
二人で煙硝蔵の点検をしている時、諦めた背中でそう言った。顔を上げると、火薬の匂いがつんと遮った。
それはい組だから言うのか、火薬委員会だから言うのか、はたまた似た空気を感じたから言うのか。読み取れない真意は微細な火薬に紛れて見えなくなっていく。
妥協を許す先輩は、こうなってほしくない、と言いながら、それは無理だと妥協したように見えた。
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