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世界で一番格好いい人


出し抜けに、美しいとか美しくないとかそんなの無意味だ、と立花先輩が言うので、伝七は睫毛をぴょこぴょこと動かし僕を見た。どういうこと、と聞きたげだったけど、僕が知るはずもないことなので、立花先輩をじっと見た。
ばっちり髪を縛り、いつもより気持ち厳しい面持ちで、これからお使いに行ってくる、と立花先輩は微笑んだ。

「兵太夫、今日のわたしはどうだ?」

美しいとか美しくないとか関係なしに、立花先輩は立花先輩だ、と僕は思う。

「とても先輩らしいです」

きっと、立花先輩はその頬に傷を負って帰ってくる。包帯を巻いた顔で、わたしはどうだ?と尋ねてくる。
そうしたら、伝七と二人で言おう。立花先輩は、世界で一番格好いいです、と。