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失敗と成功の感覚


失敗は成功の元、と二人は真っ黒の顔で楽しく笑うけれど、伝七は同じようには笑えない。

「そもそもこの僕の設計に穴があるなんて考えられない」

何度も練って何度も見返した設計図は、今は煤だらけ泥だらけで見ようにも見られない。
見すぎて頭に浮かぶようになってしまっているので、目を瞑って思い返していると、二人に同時に肩を叩かれた。

「失敗には必ず理由がある。その理由を解明するには頭だけじゃ駄目だよ」
「そうそう、立ち止まってなんていられない。もう一回やってみようよ」

そもそも左吉の誕生日にちょっとしたからくりをあげたい、と思ったのが間違いだった。
一年い組の長屋の地下をからくりだらけにするのが彼らの目的だった、と気づいた時にはもう遅かった。