一年について回って忍術の基礎から学んでいると、たまに事件に巻き込まれたりする。 例えば学園長の壺を割ってしまったとか、例えば教卓をふざけて真っ二つにしてしまったとか。 もしかすると、タカ丸は年長者として、破天荒な彼らを止める義務があるのかもしれない。 ひょいとつまみ上げてしまえばそれまでだ。 しかしタカ丸がひょいとつまみ上げるのは、学園長の割れた壺や教卓の破片。 「もう、何やってるの」 「だって…」 金吾がくしゃみをしたから、喜三太がなめくじを近付けてきたから、きり丸がいきなり銭の音を聞き付けたから、そんなくだらない理由がたくさん並ぶ。 並んで並んで、最後は面白くなって吹き出して。 「一緒に謝りに行こう」 タカ丸は年長者としての義務は、止めるではなく、背中を押してあげることだと考えている。 素直になれない心を、そっと押した。 |