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言葉は魔法


「先輩なら大丈夫ですよ」

不思議と信じられる言葉は、小さな一年生が欠けた歯を見せて笑った時にこぼしたもの。
三木ヱ門は自分以外を信じる気はなかった。
それでも、辛い時に何度も思い出すのはその言葉だった。

「大丈夫、か」

何がどう大丈夫なのか、言葉の足りない一年生は語ってくれない。
ただひたすら信頼を寄せ、火縄銃を渡してくれた。
少し湿った、柔らかな手の感触を思い出す。

火縄銃を構えた。
大丈夫、と呟いて。