ログ | ナノ
彼は世界の始まりを宣う


優秀であることは良いことである、と優秀を自負する先輩は丼定食を片手に宣った。

「とてもよく分かります」

その話ならば一年い組にすればいいものを、と内心舌打ちをしながら庄左ヱ門は鯖の味噌煮定食を噛み続ける。
先に座っていたのは庄左ヱ門の方である。
わざわざ向かいに座ってわざわざ話しかけるから何かと思えばこれだ。

「この話が分かるとは、君も優秀だな」
「そうですか、ありがとうございます」

先輩は庄左ヱ門の限りなくやる気のない返事にも丼定食にも満足し、鼻歌なんて歌いながら食器を返却しに行った。

後からゆっくりと思い返すと、あの先輩は庄左ヱ門を優秀と認め、誉めてくれたのだった。
次は自分から先輩の向かいに座り、もう少しやる気のある返事を返してみよう。