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縁結びの神様にお願い


かすがの乙女熱線銃を浴びて平気じゃなくなるやつなんかいるもんか、と佐助は笑う。妙な乙女癖があるんだよね、と。それは自分に向けられないことから来る密やかな嫉妬か、はたまた昔からずっと聞いてきたことによる耳だこかは分からない。
けれどもそう言いながら笑う佐助の目は穏やかで、ずるいくらいに穏やかで、幸せならばいいか、という気にさせる。

「報われないのは幸せじゃないにしても、決して不幸せってわけでもないんだよな」

慶次は嬉しそうに切なそうに微笑む。夕日より儚くて、夕日より大きな笑顔。
ホワイトデーのお返しでも考えますか、と一番大きな義理チョコの箱を大事に抱え、誰にも顔を見られないように歩き出す。
待ってくだされ、待ってよ、待て、待って、wait、たくさんの待ってが交錯して、振り返らない慶次の一番の幸せを願った。