シャープペンの芯はFに決めているとか、0.3に決めているとか、くだらないことで世界はいっぱいだ、と熱弁する友人は見ていて飽きない。 「ペンでノートを取る君に言われたくないけどね」 「間違いなどなければよいのだ」 「間違えたら修正液を使いなよ」 「テープもある」 「まあそれはいいよ」 半兵衛はお気に入りで揃えた筆箱を片手で弄び、もう片手を頬杖にやっている。負け惜しみでも何でもなく、別に構わない、を見せる姿勢は潔い。だからといって何かが起こるわけでもない。 世界は狭いけれど、ここを中心にビックバンが起きても、反応するのはごく少数に留まるから、何をやっても許される気がする。 「僕が言いたいのは、大事なところまで同じペンでいいのかっていうことだから」 「同じではない」 「…どういうことだい」 見ろ、と開いたノートはやはり赤一色(せめて黒にすればいいのに)で、何がどう同じペンではないことを主張できるのか分からない。 分からぬか、と多少残念そうにする期待に応えられないのは少し申し訳ないが、理解できないものは仕方ない。取り繕ったところで意味もない。 「白チョークは0.3、黄色は0.4、赤は0.5だ」 「…ちなみに視力は」 「2.0に決まっている」 世界は日々ビックバンの繰り返しだ。 |