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カガクの香り


突然、隣を歩く半兵衛が笑った。底冷えする廊下に白い息が浮かんでは消え、また浮かぶ。かすがは振り返り、寒さにおかしくなったかと半兵衛を見た。

「どうした」
「かすが君、いい香りがする」

鼻を突いてみせ、また半兵衛は笑う。

「上杉先生の、香水だ」