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春先点灯


諦めてよ、と言い聞かせる。両手は小さいのだから、何もかも手に入るはずがない。この距離にあるのだ。それだけで十分ではないか。他に何を望むことがあろう。いいや、ない。これが全ての幸せだ。他には何も、いらない。
諦めてよ、本当に。呟くように言い聞かせた。今まで何だって諦めてこれたじゃないか。どうして今になってこうなんだ。いっそ腹が立つ。駄目だこれでは。

「諦めて、旦那!」
「某はどうしても欲しいのだ、頼む!」
「駄目だよ、どうするつもりなのさ!」
「食す!」
「だーめー!」

ソフトクリームのオブジェがいつまでも輝き続けている、そんな夜明けの酔っ払い。