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トレース


世界は色をトレースし忘れたらしい。佐助には、燃える赤は目の奥にしかない。一度瞬き、友人から顔を逸らせた。何の思し召しか。神ならば、これほど残酷なことはない。

「猿飛」

世界は記憶をトレースし忘れたらしい。佐助と政宗は何かを忘れたまま、仲の良い男子高生を演じ続ける。
白黒の世界で佐助を呼んだ。叩かれた黒の肩の骨が泣いた。

「何、伊達ちゃん」
「諦めんな」

神は佐助に何も知らせてはくれない。政宗は神かもしれない。いつも何かを探しているけれど、それが何かは分からない。きっと政宗は知っている。
燃える赤はどこにある。今日、青の竜を知った。