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うたた寝子守唄


掃除は二人。二人いれば終わる。
閑散とした音楽室にはグランドピアノとギターが一つずつ。楽器はそれだけ。準備室の方にあるのだろうか。それでも熱心な美術室とは大違いの光景に、思わず半兵衛は閉口してしまった。

「大きく見える」

だろう?とはにかみ、政宗はグランドピアノの上に腰掛け、ギターを組んだ足の上に乗せる。シャランだかジャワンだか、大体そんな感じの音が鳴った。
箒でロックンロールだとか野球だとかやってる姿とは月とすっぽんで、何だか普通に自在箒を持って掃除をしている自分が恥ずかしい。

「何のsongがいい?」
「君の好きな歌なら、何でも」

きっと分からない。前奏を聞いても分からない。歌いだしても分からない。ただ声が綺麗で、悲しい歌だということだけは分かった。