ログ | ナノ
二重
「俺の右目だ」
そう言われてから、世界が変わったような感覚に陥ったけれど、民衆の生活も、織田の強大な支配力も、何一つ変わっていないのだと思い知らされる。足元に落ちる石も、昨日と同じ。灰色の塊だった。
「俺には不可能なんて見えねえ」
高く笑う主君は有り難い性格をしている。天下を取れるのだと、彼はまだ信じ込んでいる。
不可能の三文字が、見ていた石に浮かび上がる。蹴飛ばして、昨日と同じではなくなった足元は、何だか少し軽くなったような気がした。
第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -