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風を結う
行こう、と手を差し伸ばしてくれるのが好きで、できればいつも両手を空けていたかった。手を取るのが特権階級な気がして、走って湿った手が心地よく、ずっと握っていたかった。
そんな小さな手から始まって、いつの間にか終わりは小さな扇子だった。
手を繋ぐ代わりに、風を起こす。
「優作さん」
優作さん、優作さん。呼び続けても届かない。
ふわりと花を舞い散らせ、初めて会った春を手繰り寄せる。
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