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新月、無知を知る


落ちたのが花ならば、こんなに冷たい思いをしなくて済むだろうに。いつきは雪を掬って顔に押し付け、あおいおさむらいさんを睨みつけた。
何か言ってやりたかったが、言葉は鉛となって地面を這うのみだった。

落ちるのが自分の首ならば、足下にある花を守れるだろうか。赤く染まる大地に答えはない。
あおいおさむらいさんは、青に赤が混じって紫の空を背負う。歯だけが白く、月は黒い。背中にあるはずの月は、何色をしているのだろう。