「蘭丸が鞠にしてやるよ」 それはいいですね、と鞠は言った。鞠つきはできますか、私を汚したら承知しませんよ、帰蝶に練習を請いなさい。本気で鞠になるつもりなのか、笑わない目が怖い。 「刃物の扱い方を知っていますか」 首は硬い、変な傷は残されたくないのですよ、ククク、と笑い、鞠は蘭丸を置いていく。跳ねない鞠は、這うように死地へ舞っていく。鞠のくせに、蘭丸を置いていくなんて生意気だぞ。鞠には耳なんてないから、きっと聞こえていない。 「蘭丸が、お前を、鞠にするんだからな!」 死んだら承知しないぞ、だから、なあ、置いていかないでくれよ。まだ鞠のつき方も刃物の扱い方も知らない、蘭丸を、どうしてくれるんだ。 |