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雀色時


呼び掛ける優しい声が、雀の合唱に交じっていた。それだけを聞きたくとも、もう喉は潰れてしまっている。自分が潰した。小さなつづらも大きなつづらも取ろうとした罰だった。雀に舌を切られ、おとなしくしていればよかった。あろうことか、この手で雀の命を奪ってしまった。すっぽりと隠れるほど小さかった。本当に、大きなつづらは大きすぎ、小さなつづらは小さすぎた。どちらも合わなかった。だから秤に掛けられず、自らの意思を知れなかった。また涙が落ちた。手の平で受けとめると、止まらなくなった。雀が来て、それを飲む。塩辛かったのか、小さく鳴いた。ぴい、と鳴いて、飛んでいった。手を伸ばしたけれど、二度と戻ってはこなかった。

雀の涙ほどの先を見通す力があれば、こうはならなかっただろう。俯き、黙り込んだ静寂に、また一声、遠くから届く。