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藍色気球


時間は確かにゆったりと流れていたはずで、それをしっかりと確認していたはずの濃姫は、どうしても、全ての結末を納得できないままでいる。誰よりも近い、静かに滴る従兄の血が、音を立てずに足袋へ落ちている。じんわりと濡れ、また一つ、信じていた結末が弾けた。

心の中で崩れていくのは過去だろうか。それとも他の何かだろうか。しゃらん、と揺れたかんざしはその答えを知ってはいない。かんざしを揺らした風は、納得のいく結末を運んではくれない。
ただそこにあるのは従兄の首で、その従兄の首は信長の嫌った水色桔梗に包まれていて、さあどうぞ、あなたは信長公の喜ぶ顔が見れます、あなたはそれを見て 嬉しく思うでしょうか、私はあなたが嬉しいならそれでいい、何を望みましょう、この敗北の布に私の首をお包みなさい、帰蝶、さあ、ああ、従兄は何を言いたかったか、重みが思考を妨げる。

ぱちん。最後の結末が弾け散った。信長はもういない。