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お手玉


ひい、ふう、みい。しゃらん、しゃらんとお手玉が舞う。目の前を行ったり来たり。きちんと座った姫が、ぽんと一つを飛ばし てしまったのを空中で取り、自らが持ってきた紫と藍のお手玉と合わせ、三つでくるくる回してみせる。ねえ、もう一度、とせがんでみせるその顔に、笑顔と三つのお手玉を渡した。
縮緬の感触を、もう思い出せない。

「ああ、一つ、足りませんね」

ひい、ふう、みい。片目ではうまくお手玉を回せない。三つ落ちて、涙も落ちた。