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見るなら君の夢がいい


じわりじわりと広がる闇に、長政はもはや抗うことを許されてはいなかった。虚ろな視界に、最後にせめてと市を映す。後ろ姿では、どんな顔だったか思い出せないではないか。市。呼ぶ声も叫ぶ声も、誰にも届かず、顎の無駄な運動となり消えた。

「長政、様…?まだ起きていたの?」

そっと市の顔が割り込み、そして手が長政の視界を覆う。市。やはり声は泥に消えて、市には届かない。
ふと気持ちのいい体温が、長政を闇に押しやった。

「徹夜なんてするから…」