腕力任せの扉 「慶ちゃん、教えてくれないかな、俺様が昨晩何をしたか」 いきなりの呼び鈴に大きくドアを開けたが運の尽き。 足を挟めてニヤリと笑う。 いや、閉めるほうが悪いんだ。 「新手のセールスですか、猿飛さん」 「真実を求める探求者なだけですよ、前田さん」 慶ちゃんはドアを閉める手を離し、その手を頭にやった。 旦那が早起きすぎるだけで、どうやらこちらは起きたばかりみたいだ。 「…知らない」 「嘘つけ、友達が来たのに追い出したりする心の狭い慶ちゃんのはずがない」 「あのな、俺は悪くない」 「やっぱり知ってるんだ」 「まあな」 慶ちゃんは俯き、いきなり俺様を押し倒し、ドアノブ、鍵、施錠、そして大声。 「元親が悪い!」 |