現代 | ナノ

ドキッとリスン


何だか色々言って許してもらったが、もう明らかに松永宅に忍び込んで携帯を取り返す雰囲気ではなくなった。
麗しの謙信様を守るため、貯めて買った魅惑の眼帯を守るため、放課後の楽しみを守るため、秀吉との友情を守るため、エトセトラ。

「しょうがない、うん、しょうがないって」
「携帯くらいねぇ、安いよ」
「それ見ろ、correct answerだっただろうが」
「謙信様には変えられない…っ」
「そう、秀吉には変えられない」

松永が去ってから三限も四限もサボり、腹も減ったのでだらだら屋上の扉を開けると、幸村が立っていた。
俗に言う盗み聞きである。

「ぬおお…っ、お主ら!授業に出ずに何をやっているかと思えばっ」
「あのね、旦那、これは…」
「元就殿にお伺いいたしましたぞ!」

鼻息荒く、佐助を揺さぶる幸村は、いてもたってもいられない様子だった。

「奪還!しましょうぞ!」

携帯より大切なものがある、かったりー。