現代 | ナノ

嫁入り


こういうものは、仕掛けた者勝ちなような気がする。
コンビニの袋を腕にぶら下げ、呼び鈴を鳴らした。

「寝ているのか」

出ないのならこれを朝食にしてもいい。
朝六時にケーキを買って帰るのを見たコンビニ店員が言ったように、一種のやけ食いになってしまうが、構わない。
しかしまた買い直すのが面倒なので、扉を足で蹴ったり、呼び鈴を鳴らしまくったり。

「おい、いないのか」
「はいはい、うっせえな、誰だよ」

呼び鈴を十三回、やっとドアノブが回った。
朝に似つかない、甘ったるい匂いがした。