現代 | ナノ

パキッとネイル


「家の中にホイホイ入れたら言うことないって。どうやって入るつもりさ」
「自分本体が生活指導対象になれば、家に連れ帰られるかもしれなくない?」
「…どういうこと」
「例えば美しいかすががマニキュア塗ってさ、こらイカン!取り締まりだ!って」
「ふざけるな。私の爪が剥がれるに決まっている」

かすがは自身の爪を見て、恐ろしい想像をする。
佐助の馬鹿発言から、しばらくは皆自分の爪を見ていた。

「…あのさ」

まだ爪をさすりながら、半兵衛が口を開いた。

「虎穴に入らずんば、なんだけど、普通に言えばいいじゃないか。携帯転がりました、取らせてくださいって」
「半兵衛、お前はな…っ!」

全くの正論である。
しかしそれで済むなら会議をする必要はない。

「松永先生の恐ろしさを分かって…」
「私がどうかしたかね」

巧妙に不要物を隠す半兵衛は、生活指導の恐ろしさを知らない。
そして、思い知ることとなる。