現代 | ナノ

理解


「浅井くん、どういうつもりなの?学級委員を辞めたいだなんて」

途中で仕事を放り投げるなんて、長政らしくない。
長政は明らかに学級委員体質だから、仕事に問題があるとは思えない。
ならば問題は、市の方にある、か。

「変なのです」
「何が?」
「委員活動に差し障るほど、変なのです」
「だから、何が?」

市があからさまに冷たい態度を取っていたら、担任である濃姫は気づくはずだ。
陰で市に何か言われたのか。
長政は、変だ変だ、と言うばかりで、何が変か言わない。

一向に進展しない話にイライラし始めると、ノートを提出し終えた慶次が戻って来て、長政の肩を叩いた。

「なあ長政、俺、何となく分かっちゃった」