現代 | ナノ

省電


一体何から聞いたらいいか分からずに、小走りで職員室を去った市の背中を見る。
長政も言うべき言葉が見つからないようで、青白い顔で金魚のように口をパクパクさせた。

「ちょ、長政、どういうこと?」
「前田こそ、何故ここに…それも市と!」
「いやいや、長政、なあ、どういうことだよ」
「市っ、市は…!」
「あなたたちお願い、一つずつ解決しましょう」
「あ、そうっすね。じゃあ、ノートから」

微妙な顔をした慶次が、のそのそと落としたノートを拾う。
長政も使命感にかられてか、大分震えながらも手伝った。

どうやら落ち着いたらしい。
拾い終わって顔を上げると、真っ青だった顔に、少し色が灯っていた。