現代 | ナノ

淡恋


浅井と織田。
出席番号が男女で一番最初だったから、という話。

「静かにせい!市が話す!」
「あの、プリント、配ります…」

てきぱきと仕切る方と、細かい仕事をする方。
適当に決めたにしては最高の人材だった、と担任の濃姫は思った。
市は理事長の妹だし、そろそろ人前に出る訓練を積ませるべき、というのもあって、出席番号という理由をこじつけたらとんだ当たりくじだった。

「各自目を通しておいてください。えっと、以上です…」

最近、安心したような顔も増えた気がする。
長政に対する信頼か、恋か。

「濃姫先生?我々からは以上です」
「じゃあ、ホームルームをするわね」

若いのは素敵なことだ。
明日の予定を伝えながら、濃姫はやんわりとした笑顔になった。