現代 | ナノ

研究室


「早く来ない方が悪いのですぞ」
「そうだよ、俺様チャリで山登りの最短記録叩き出しちゃった」
「deliciousだったぜ」
「ごっさーんした」
「うむ、美味であった」

各々個包装の綺麗な包み紙で鶴やら何やらを折り出す。
5階までエレベーターを待てずに駆け上がった慶次の息は、限界ながらも言葉を発したがる。
ついでにもみじまんじゅう(生)を欲したがる。

「いや、いやいやいや、何で元就がいるわけ?研究室違うでしょ、向かいでしょ」
「もみじまんじゅう(生)を前にすればどうでもいいことよ」

つら、と述べて素知らぬ顔。
慶次の定位置を奪っているのも憎い。

「わーん、元就がいじめる!」
「まあまあ慶ちゃん…元就がいなくても、俺様たちがじゃんけんなりなんなりして、最終的には結果は同じだったはずだよ」

扉の前がお気に入りの頭を殴った。
顎を殴られた。
何だか泣きたくなった。