現代 | ナノ

言逃れ結末


「佐助!やっと起きたか!」

赤い鉢巻きに、まめだらけの手。
一体いつから気を失っていたのだろう。
三日四日、そのくらいか。

「戦況はどうっすか」

忍のなすべきことは一つで。
旦那からの優しい言葉もなくて。
これでいいのだ、と体が安心する。

「豊臣の侵攻は止んでおらぬ。慶次殿も無理をしていなければよいが」
「…仲直りすればいいのにねえ」

例えばあんな一日の、ふとした帰り道のように。
同じ夕日を求めて歩く影を踏みしめる。

「そうだな」

旦那は笑ってくれた。
それだけで十分だった。