現代 | ナノ

毒入り跳躍


「まだ痛むかい?さっきから上の空だけど」
「いや、大丈夫だよ、うん」

一歩、一歩と遅れていく俺様の隣に、歩幅を合わせた半兵衛。
後ろにかすが。
慶ちゃんは二人をなだめている。

敵に心配を受ける優しさに慣れてないのが、恥ずかしいくらい明らかになる。
声はこんなに優しいものだったか。
俯く拒否の顔に触れて遠ざかる半兵衛と、それを迎える慶ちゃん。
ほら、笑顔で。

これは誰の妄想だ。

「何で仲良しなんだよ」

豊臣を挟んでいがみ合ってくれれば、本当の延長線上の出来事であるのに。
そうすれば、七段を飛び越し、背中を守り、かっこよく笑ってみせるのに。

「何故って、お前が願ったからだろう」

ぽつり、呟かれたかすがの現実をどう受け取ればいい。