現代 | ナノ

山折り調律


ふかふかの布団に心を埋めると、規則正しくチャイムが鳴った。
確か次は体育だから、わざわざ寄りには来まい。
会うのが嫌な訳ではない、気まずいというのも嘘な気がする。

ノートを取る、と言った竹中半兵衛の心配そうな顔に苛ついているのではない。
相変わらずのかすがに悲しくなるのでもない。
へらへら笑う慶ちゃんに、進歩してねえなあ、とがっかりするのでもない。
竜の旦那に、旦那に、何かを思うのでもない。

「死に損だ」

きっと、変わらない自分に嫌気がさしている。
今もう一度眠りに着いたならば、旦那の最後の顔を、言葉を聞けるだろう。
思えば思うほど目は開き、そしてどの世界をも拒む。