現代 | ナノ

パケットライト


「携帯を落とした」

元就は勉強道具一式を両手に抱え、二限と三限の間に入ってきた。

「元就、お前、携帯より鞄がないことの方が重大じゃねえの」
「鞄は構わぬ。とにかく携帯を落とした」

机の上に荷物をすべて置き、一限の途中から机に突っ伏しっぱなしの元親の頭を思いっきり叩く。
鼻低くなっちゃうよ、なんて思うが、特に気にせず元親は大あくびで顔を上げた。

「はよー」
「元親、貴様…っ!貴様のせいで!」
「ちょ、ちょ、落ち着いて落ち着いて」

仲裁に入らなければ良かった、と後悔は間髪入れずに押し寄せる。

「前田、止めるならば我の携帯を奪還せよ」

異論を認めない携帯クエスト、何だか嫌な予感がする。