現代 | ナノ

私と一人を体験しませんか


保健室が平穏を取り戻す。
こんなに静かだったか、と息を潜めてみたりもするが、静かには変わりない。
一足先に体育祭が来てしまったような、騒がしい夏が帰ってきたような、そんな。

イヤホンをかけ直し、曲を選択する。
やかましい音が鼓膜を刺激する。
それでも、しん、とした音がする。

夏が帰ってきたような、春が帰ってきたような、蝶々がひらりと舞い込むような、そんな。

電池切れの音が、光秀を食いちぎった。

「馬鹿でしょう、ねえ」