現代 | ナノ

ホウゲン


そう、方言だ。
集中講義は特別な講師を呼んで、特別な講義をする。
ちゃんと授業計画を見ていれば、これから何が起きるか分かるはずだった。

「おら、東北訛りについて講義させてもらう、…あっ!」

聞き慣れたあの訛りの、見慣れたあの少女の、つまりはその、アレだ。

「久しぶりだな」
「おめ、ここの学生だったか…おら、てっきり…」

てっきり。
てっちり、ではない。

「おじちゃんかと思ってただ」

この夏は甲子園に通えない夏だった。
この夏は林檎を食べすぎた夏だった。
この夏は、サマーは、良い夏だった。

ハッピーメリーサマー。
しばらく「おじちゃん」があだ名になったことは言うまでもない。