現代 | ナノ

シギョウ


東京へと戻ってきたのは、大学の集中講義があるからだった。
危うく忘れて単位を取り逃すところだった、危なかった。
配ろうと思った野菜を抱えて席に着き、慶次と半兵衛を待つ。

「やあ、秀吉、久しぶりだね」
「よっ、秀吉」

背中を叩かれ、振り返る。
慶次と、半兵衛。
笹かまぼこと、呑んだくれ。

「おい、秀吉」
「Hi、秀吉」

その後ろから、つるぎと独眼竜、ではなく、かすがと政宗。
聞けばほうほうの体で奴らを引っ張ってきたらしい。

「酒樽が空になるかと思った」
「出荷する笹かまぼこの70%はアイツが食った」

秀吉は収穫した林檎の80%を摘んだとか、そういうのはどうでもいい話に違いない。
始業のチャイムのせいで不満を言い尽くせなかった二人は、しょうがなく席についた。

「ところで秀吉、何の講義だっけ」
「確か…方言だ」