現代 | ナノ

デンエン


新潟はいいところだ。
この豊かな田園に囲まれ、穏やかな日々を過ごしてみたい。

「慶次くん、いるかな」
「おそらく上杉の屋敷にいるだろう」
「日本酒、あるかな」
「おそらく上杉の屋敷にあるだろう」
「早く行かなきゃね」
「ウム」

かすがの分だという大きな紙袋二つをガサガサ言わせながら、二人はひたすら田園を歩いていく。
上杉の屋敷は一等地にある、車も通らない田圃の真ん中。

「半兵衛、少し飛ばしすぎなのでは…」
「何を言っているんだい、秀吉!日本酒が待っているんだよ!」
「そうだな、慶次が待っているな」

喜びで吐血するか、疲れで吐血するか。
どちらにせよ吐血するのは時間の問題だろう。