現代 | ナノ

ニイガタ


京都も小京都も同じだから帰ってきなさい、が叔母の言い分だった。

「たまにとんでもないこと言うね、まつさんは」
「本当とんでもねえよ」
「それで、どうするのだ」
「どうしようかねえ…」

京都も小京都も同じなら、慶次だって苦労はしない。
間を結ぶ特急は確かに速いけれど、行き来をするにあたっては少々割高だ。
それに慶次は今、京都ではなく大阪にいる。

「全く、困るなあ」

大阪と小大阪があるなら、なんて屁理屈が通用するはずもない。
慶次は決心を固めるしかなかった。

「俺、新潟に行くよ」

いやいや帰れ、と秀吉に諭され、とぼとぼ新大阪駅へ向かう慶次の姿が確認されたのは、今から三日前の話である。