現代 | ナノ

おでん


「なー、片倉さん」
「何だ」

学生の波も落ち着いて、夜の準備を始める前の暇な二時。
講義がないのか元親がやってきた。
食わないなら避けろ、と言いたいのだが、誰も来ないから言いづらい。

「奢らねえぞ」
「違うって!慶次じゃねえんだから」

ぐだぐだと透明ケースに寄りかかり、あれじゃないこれじゃないと指を指す。
一体何がしたいのか。
もぞもぞそわそわ、遅れて昼飯を取りに来た学生に押されるようにようやく元親は言った。

「…おでん、出さないっすか」