現代 | ナノ

冷や奴


貧富の差が激しい男がいる。
食べる時はトレーに乗り切らないほど取り、食べない時は小鉢一つのみ。

「猿飛、さすがにそれはひもじすぎるんじゃねえか」
「いや、今は神様が節約しろって言ってるんですって」

冷や奴をトレーに乗せ、猿飛は遠い目をする。
この分なら今日の昼食は冷や奴と醤油がけご飯だろう。
とりあえず迷ったら唐揚げの竹中の皿に、醤油味の唐揚げを載せる。

「だからさあ!」

今日もいいことをした、と思いながら、レジの怒鳴り声を聞く。