現代 | ナノ

唐揚げ


「片倉さーん、奢って」
「何言ってんだ」

片倉小十郎は中央食堂でアルバイトをしている。
揚げ物と頬に一筋の傷、と言えばすぐに分かるだろう。

「このままじゃメインなしのお昼になっちゃうんだって」
「自業自得だろ」
「あ、片倉さん、僕は唐揚げで」
「おう」

ひょいひょい、と慣れた手つきでトングを動かす。
いつもより余計に三回。

「おまけだ」

レジでまた「片倉さんは…」と言われるのはこちらである。
慶次の分も含めた、計八個の唐揚げをトレーに乗せ、半兵衛は小さなため息をついた。