現代 | ナノ

望み


何度右目をなくせばいい。
何度右目をなくせば、許してもらえる。

「…小十郎」
「何でしょう」

何度右目を無くせば、亡くせば、この輪廻を断ち切れる。
また小十郎が隣にいる。
隣にいるから思い出す。
もうすべてを忘れたい。

「何でもねえよ」

すべてを思い出した時、小十郎がいなかったらどうなってしまうか分からないくせに、いないことを望む。
そしてまた、右目をなくす。