現代 | ナノ

吸う


霧の日は、呼吸がしにくい。
大きく霧を吸い込んで、吐く。
どれだけ酸素が含まれているのだろう。

霧の日は、見えない先に旦那が待っているのではと思ってしまう。
赤色に身を包み、二槍を携えて、佐助、と。

「待っていたぞ」
「うん」

鞄を下げて、黒い制服に身をまとって。

霧の日は、呼吸がしにくい。
旦那の側にいないと、呼吸ができない。
いつだって、佐助の酸素は幸村だ。