現代 | ナノ

校歌斉唱


「あの子と話してきちゃった」

ふふふ、と友人の弱みを握ったような顔で見られ、政宗は殴り飛ばしたい気持ちになった。
慶次だったら殴っていた。

「…言ったのか?」
「何をかな」
「何って、お前は本当に意地が悪い」
「知っているよ」

司会が話し出したので、中学生の手前、見本を見せるために雑談を止める。
たまに横目で楽しそうに見てくるが無視をする、最悪だ。

校歌斉唱です、と司会が言った。
立ち上がりながら、友人は政宗をつつく。

「もちろん言ってないよ。財布を忘れた日だったから本当に助かって柄にもなく最高の笑顔をしてしまった、みみっちい男だってこと」