現代 | ナノ

同一人物


「さっき伊達さんと話してたお兄さん…」
「見間違いなんかじゃない、あれは君の言っている政宗くんだよ」

全体的に色素の薄そうな、紫のフレームの眼鏡をかけた人が、いつきの後ろを歩いていた。
どうやらあまりにも歩くのが遅くて、後列と合流してしまったみたいだ。

「政宗くんから聞いたことがあるからね、パスケースを落とした話」
「じゃ、じゃあ、あの…笑顔と、不機嫌な、その…」

だんだん言いづらくなって、口ごもる。
友人のお兄さんは微笑み、指を一本だけ立てた。

「同一人物ってこと」