現代 | ナノ

進路選択


「なー知り合いなのかって聞いてんだよ!蘭丸に教えろって!」
「…多分、見間違いだ」

体育館へ移動しながら、蘭丸がいつまでも聞いてくるのが鬱陶しくて、傾きかけている心を出してしまった。

だっていつきの王子様は、笑顔で優しくて少しドジで、とても誠実だから。
彼は笑顔じゃなくて優しくもないし、ドジかどうかは知らないけれど、きっと誠実じゃない。
見間違いじゃなかったら、いつきの恋と進路選択は切ない。
切なすぎて、彼から遠ざかるために一番後ろを歩いてしまう。

「見間違いじゃないよ」

ふと、後ろから声がした。