現代 | ナノ

勧善懲悪


いつきはアレッと思った。
パスケースを受け取った王子様は、爽やかな笑顔でいつきにお礼を述べたはずだった。

「伊達、政宗さんでねえのけ?」
「知らねえな」
「伊達政宗ってネームプレートに書いてあんぞ」

いつきはアレッと思った。
バスに乗っていた王子様は勧善懲悪、とても誠実そうに見えた。
見えたのに。

「何、この人、お前の知り合いなのか?さっさとどけよ、蘭丸が降りれないじゃないか」

何だか自信がなくなってきた。