スルッとプラン 「遅かったな」 緑の携帯を弄びながら、元就は薄笑いで迎えてくれた。 元親は三限の後に早弁をして、四限から寝たまま。 足元には細長い釣り竿。 「それに比べ、小太郎の仕事の早さよ」 「……」 「いつでも我の下で働くとよい」 「……」 額に汗を浮かべた小太郎は、図書委員ではなく風紀委員だから、と言いたそうな顔をした。 元就から話を聞いた小太郎は、幸村の過熱具合から話がおかしな方向に進んで行くであろうことを予測し、自転車を走らせさっさと携帯を取ってきたのだった。 松永は学校にいるのだから、見つかる心配もない。 さらに言えば、五人が怪しく固まって屋上で会議をしていれば、小太郎への注意は向かない。 おとり作戦!ということにした。 「小太郎、ありがとな」 購買のパンを五つ、お礼に代えて。 |