戦国 | ナノ

小刀失言


小太郎が手を切ったのは、将棋で負けてから二日後だった。

果物を剥いてほしい、とまたいつもの依頼を受け、小刀を走らせていた。
ふいにかの小隊長が小太郎の手元を狂わせる。

「北条様はそれは好まないはずです」

するっと果物の表面を掠り、向こうへ抜ける。
ここしばらく見ていない、赤を見た。