戦国 | ナノ

雨水雲水


雨の多い土地柄からか、利家は底抜けて明るい性格をしている。

「犬千代様、お立ちくださいませ」

まつも随分感化された。
以前はもう少し、困難に弱かった気がする。

「今行かねば、いつ行くのです」

横たわる夫の頬を叩き、懸命に呼びかける。
雨の多い土地柄からか、雨は涙の代わりとなり、まつは涙を流さなくなった。
苦しいほどに底抜けて、空が涙を流している。